青森の夏祭りといえば津軽のねぶた祭りが有名ですが、南部地方を代表する「八戸三社大祭」も見応えがあるんですよ。2016年にユネスコ無形文化遺産に登録されてからはさらに人気が高まっているんです。
過去に5年ほど八戸に住んでいた経験をもとに、八戸三社大祭の見どころ、日程、おすすめの観覧場所などをご紹介します。
八戸三社大祭の歴史
VISITはちのへによると、享保5年(1720年)、凶作に悩む八戸の有力者たちが、法霊大明神(現在の「おがみ神社」)に天候の回復と豊作を祈願したところ、無事に秋の収穫を迎えることができました。そのお礼として、八戸藩の許可のもと、武士や町人から寄進を募って神輿を建造し、享保6年(1721年)、長者山三社堂(現在の「新羅神社」)に渡御(とぎょ)したことが、八戸三社大祭の始まりと言われています。
やがて、この祭りに、人形を載せて担いだ「屋台」や「虎舞」など、町民で編成した行列が参加するようになり、町の安泰や豊作を祈願する大規模な祭礼に発展していきました。
祭りの起源となったおがみ神社に、明治17年(1884年)には長者山新羅神社が、その5年後には神明宮の行列が加わって三社の祭りとなり、それまでの同じ人形を屋台に載せるスタイルから、毎年新しく作った山車を運行する形へと変化し、現在の祭りの原型となりました。
八戸三社大祭は東北地方最大級の神祭のひとつで、2004年に国の重要無形民俗文化財に指定され、2016年にはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」に登録されました。
現在の八戸三社大祭は、行列の運行経路や参加する民俗芸能など伝統を保ちつつも、神話や歌舞伎などを題材に製作された27台の山車が祭りの余興「附祭」(つけまつり)として参加し、祭りをより華やかで迫力のあるものにしています。
八戸三社大祭の日程・運行ルート
日程
7月31日 (水) | 前夜祭 | 山車の展示とお囃子実演 | 午後6時~9時 市庁前市民広場および中心街 |
8月 1日 (木) | お通り | 出発式 | 午後1時30分 (予定) おがみ神社 |
神輿と山車の合同運行 | 午後3時~ 八戸市庁前(内丸)出発 | ||
8月 2日 (金) | 中 日 | 長者山新羅神社例祭 献弊使参向 | 午前11時 長者山新羅神社 |
おがみ神社例祭 | 午後1時~2時 おがみ神社 | ||
加賀美流騎馬打毬・徒打毬 | 午後2時~4時 長者山新羅神社 | ||
夜間山車運行 | 午後6時~ 八戸市庁前(内丸)出発 | ||
8月 3日 (土) | お還り | 神輿と山車の合同運行 | 午後3時~ 鍛冶町出発 |
8月 4日 (日) | 後夜祭 | 山車の展示とお囃子実演 | 午後6時~8時 市庁前市民広場および中心街 |
日程の詳細はこちらでご確認ください。
8月2~4日は、「おまつり広場」イベントで各種催しが行われます。ステージイベントをはじめ、飲食ブース、縁日広場、お化け屋敷を楽しめます。2019年のステージイベントの主なゲストは、CIMBA(8/2)、Sugarsoul&HASEBE(8/3)、EXILE MAKIDAI(8/4)さんなどが出演して三社大祭を盛り上げてくれる予定です(詳細はこちら)。
運行ルート
8月1日~3日の合同運行のルートは以下のとおりです(各運行ルートはVISITはちのへのサイトからお借りしました)。
前夜祭(7/31)と後夜祭(8/4)の山車の展示とお囃子の実演場所はこちらをご覧ください。
八戸三社大祭の見どころ
八戸市内のおがみ神社・長者山新羅神社・神明宮の三社の神輿行列と、市内各町内を中心とした組の27台の華麗な人形山車が神社の氏子として八戸市の中心市街地を巡行する八戸三社大祭は、祭り期間中100万人以上の観光客が訪れます。
八戸三社大祭の見どころ・楽しみ方を紹介しますね。
「お通り」と「お還り」は古式ゆかしい神社行列と豪華絢爛な山車の両方を堪能できます
八戸三社大祭は豊作祈願と報恩を起源とする神事のお祭りです。その神祭を堪能するには、かつての祭りの姿を今に伝える「お通り」または「お還り」の行列の観覧がおすすめです。
おがみ神社・長者山新羅神社・神明宮の三神社の厳かな神輿行列と、神話や歌舞伎などを題材にした豪華絢爛な27台の山車が合同運行するのは8月1日のお通りと8月3日のお還りだけです。
三神社の行列では、「巫女行列」や「武者行列」のほか、獅子頭の歯打ちの音が清々しい「法霊神楽」や滑稽な動きで沿道の観客を沸かせる「虎舞」、人が馬に乗った姿を模して踊る「駒踊り」など、普段見ることができない多彩な行列や郷土芸能を楽しめます。
お通りとお還りの行列のハイライトは、豪華かつ迫力ある27台の人形山車です。
昼間の運行なので、最大で高さ10m、幅8m、奥行き11mにもなる山車は、その大きさと緻密な飾り付けや色合いの華やかさがハッキリと観察できて圧倒されます。
山車の仕掛けを見逃すな!
特筆すべきは各山車の仕掛け。
道幅に合わせて横に広がったり、紅白歌合戦の小林幸子張りに人形がせり上がったり、煙が吹き上がるなど、数々の仕掛けが施されているんです。山車に動きがあるたびに沿道に大きな歓声があがります。ちょっとしたサプライズのようで楽しいです。
毎年、この山車の仕掛けを楽しみにしている人は多いはず。
「中日」は加賀美流騎馬打毬とライトアップされた華麗な山車が見もの
8月2日の中日は、昼間に開催される「加賀美流騎馬打毬」と、夜間のライトアップされた山車の合同運行が見ものです。
騎馬打毬(きばだきゅう)という伝統競技をご存知でしょうか。どこか格式高い響きですよね。
現在、全国に3か所しか残っていない伝統武芸で、保存されているのは宮内庁と山形県、そして八戸の「加賀美流騎馬打毬」のみとなっています。馬産地で馬術が盛んだった八戸藩が武芸の奨励のために始めたとされています。
騎馬武者が紅白に分かれ、馬上で先端に網のついた毬杖(ぎっちょう)と呼ばれる杖を使って、地上に置かれた毬(ボール)を拾い上げ、味方の毬門(ゴール)に投げ入れる競技です。東洋のポロと表される古典スポーツです。
珍しい伝統競技なので機会があったらぜひご覧下さい。
中日の夜は、ライトアップされた豪華な山車が夜空に浮かび上がる山車の運行で盛り上がりましょう。三神社の神輿行列はありませんが、夜の山車の運行を見られるのは中日だけです。
ライトに照らされながら進むきらびやかな姿と動く仕掛けが楽しめますし、昼とは違った幻想的な雰囲気が味わえます。
展示のみで動きませんが、祭りの初日の前夜祭と最終日の後夜祭でも、ライトアップされた山車を鑑賞できます。八戸市中心街にライトアップされた27台の山車が一斉に展示されて、山車とお囃子の競演が祭りの始まりと終わりを盛り上げてくれます。
八戸三社大祭のおすすめ観覧場所は?
やはり有料観覧席周辺です。
有料観覧席の前では山車が横に広がったり、人形が上下に動いたりするなど、仕掛けのパフォーマンスが見られる絶好の観覧ポイントです。
八戸三社大祭の山車は仕掛けによって大きく変形するので、ぜひ展開した山車を堪能してください。
展開した山車の観覧は、有料観覧席もしくは表通り(お通りは廿三日町・十三日町・三日町、お還りは八日町)がおすすめです。裏通り(廿六日町・十六日町・六日町・朔日町など)は道幅が狭いので山車が展開できるスペースが限られます。
有料観覧席の設置場所は下記を参照してください。
有料観覧席の設置場所
有料観覧席の設置場所は下記の地図のとおりです(クリックすると拡大表示されます)。
有料観覧席が取れなかった場合でも観覧席周辺は絶好の観覧ポイントになりますのでチェックしてみてください。
有料観覧席はすでにキャンセル待ちの状態ですが、詳細はこちらをご覧ください。
お問い合わせ先: VISITはちのへ(0178-70-1110 平日9:00~17:15)へ。
青森の夏祭り巡りもおすすめ
青森県の夏祭りと言えば、青森ねぶた祭り、弘前ねぷたまつり、五所川原立佞武多など津軽地方の祭りが有名ですが、「八戸三社大祭」もひけをとらない活気と迫力を誇る南部のお祭りです。
いずれのお祭りも8月上旬に開催されるので時間が許す場合は、数日間で複数のお祭りを楽しめてしまいます。
祭り期間中は、青森駅ー八戸駅間の臨時列車(青い森鉄道の夏祭り臨時列車)が出ますので、一足早く始まる八戸三社大祭を見てから、津軽のお祭りを巡るのもおすすめです。
私は今年、マイカーで八戸三社大祭、弘前ねぷた、五所川原立佞武多を巡る予定です。
八戸は青森県では青森市に次いで大きな市です。新幹線駅も高速のインターもあるのでアクセスしやすいですし、最寄りの三沢空港からは八戸市内まで連絡バスやレンタカーで移動できます。
また、八戸は港町なので魚介が最高においしいです。ウニとあわびのお吸い物の「いちご煮」や鯖料理、海鮮丼をはじめ、鶏の出汁が効いた「せんべい汁」も地元特有の味わいです。ぜひお試しください。
【参考サイト】
・八戸三社大祭サイト
・八戸観光
・八戸へのアクセス・市内および周辺へのアクセス
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